彼女が指輪をはずすとき
彼が思い出になるとき
私、何てこと言ったのだろう。
ビルの屋上でひとり、フェンスにもたれ掛かり先ほどの自分の言葉を思い出し後悔する。
三笠くん、絶対傷ついたよね。
私のことを気にかけて心配してくれてただけなのに。
彼には何の非もないのに。
どうやって謝ろう。
最近朝日のことでずっと心がもやもやして仕事に集中できない。
その事を三笠くんに当てられて、隠そうとしたら最終的にむきになって怒鳴るなんて。
悩んでますって言っているようなものじゃない。
本当は誰かに相談したくて仕方がない。
そんなときに思い浮かんだのは、三笠くんだった。
”もっと頼ってください”
彼の言葉がずっと耳から離れない。
あの言葉、嬉しかったんだよね。
本当に、相談しても良いのだろうか。
彼ならきっと、真剣に聞いてくれるんじゃないだろうか。
”君には朝日を忘れて、きちんと前を向いてほしいんだ。だから他の人と結婚をして、子供を産んで、幸せになってほしい”
朝日のお父さんの言葉が、ずっと心に引っ掛かって離れないでいる。
朝日以外の男の人、か。
もしかして彼なら……
「藤堂」
後ろから声をかけられ、上の空だった私は一気に現実に引き戻される。
「…亘さん」
振り向くと屋上へ入るドアの前に、煙草の箱とライターを左手に持った亘さんがこちらを見ていた。
「どうなさったんですか」
「煙草吸おうと思って」
「喫煙ルームで吸わないんですか」
「俺はもっと開放的なところで吸いたいんだよ」
彼は箱から煙草を一本手に取り、先端にライターで火をつける。
ビルの屋上でひとり、フェンスにもたれ掛かり先ほどの自分の言葉を思い出し後悔する。
三笠くん、絶対傷ついたよね。
私のことを気にかけて心配してくれてただけなのに。
彼には何の非もないのに。
どうやって謝ろう。
最近朝日のことでずっと心がもやもやして仕事に集中できない。
その事を三笠くんに当てられて、隠そうとしたら最終的にむきになって怒鳴るなんて。
悩んでますって言っているようなものじゃない。
本当は誰かに相談したくて仕方がない。
そんなときに思い浮かんだのは、三笠くんだった。
”もっと頼ってください”
彼の言葉がずっと耳から離れない。
あの言葉、嬉しかったんだよね。
本当に、相談しても良いのだろうか。
彼ならきっと、真剣に聞いてくれるんじゃないだろうか。
”君には朝日を忘れて、きちんと前を向いてほしいんだ。だから他の人と結婚をして、子供を産んで、幸せになってほしい”
朝日のお父さんの言葉が、ずっと心に引っ掛かって離れないでいる。
朝日以外の男の人、か。
もしかして彼なら……
「藤堂」
後ろから声をかけられ、上の空だった私は一気に現実に引き戻される。
「…亘さん」
振り向くと屋上へ入るドアの前に、煙草の箱とライターを左手に持った亘さんがこちらを見ていた。
「どうなさったんですか」
「煙草吸おうと思って」
「喫煙ルームで吸わないんですか」
「俺はもっと開放的なところで吸いたいんだよ」
彼は箱から煙草を一本手に取り、先端にライターで火をつける。