彼女が指輪をはずすとき
「まだね、少し抵抗があるの。朝日…彼氏を置いて私だけ幸せになっていいのかなって」

彼は真剣な眼差しで私を見ている。

「でもねこのままじゃ駄目だって思い始めたの。前に進まなきゃって。そう思わせてくれたのは三笠くんだよ」

「え…」

彼は驚いたような顔をした。

「自分勝手かもしれないけれど、私の気持ちが整理できるまで待っていてほしいの。整理ができたら私、あなたとともに歩んでいきたいって思っているから」

「それって…俺とのことを考えてくれるってことですか」

私は彼の言葉に笑顔で返す。

「今度は私から告白するから!それまで待っていてくれる?」

私がそう言うと、彼は泣きそうな笑顔で頷いてくれた。
< 63 / 66 >

この作品をシェア

pagetop