彼女が指輪をはずすとき
わたしが前に進むときーエピローグー
「え!結婚するの!?」

俺は開いた口が塞がらないほどの衝撃を受ける。

「そう。来月籍入れて、結婚式するからお前も来いよ。これ招待状」

飯沼は鞄から白い封筒を取り出して、俺に渡す。

「まじかよ…相手誰なの?」

「経理部の水野さん」

「水野さん!?あの!?」

水野さんというのは、会社の中でも5本の指に入る美人だ。
さらさらストレートの黒髪で、控えめで清楚なイメージがある。

「そう」

「清楚な水野さんとチャラそうなお前がどういう経緯で?」

「チャラいっていうけど根は真面目だから俺。会社の食堂で彼女がお盆で運んでいた料理を落としちゃって、俺が大丈夫ですかってかけよっていったところから」

「人は見た目じゃわからないな…」

「しみじみ言うなよ」

そんな話をしていると、部署の外へと出ていた藤堂さんが戻ってくる。

「あ、藤堂さーん!」

飯沼が大声を上げて彼女を呼ぶ。
彼女は大きな声に肩をびくっと震わせて、一瞬動きが止まる。

「どうしたの」

そう言ってゆっくりとこちらへと近づいてくる。

「俺今度結婚するので、これ結婚式の招待状です」

「え!?飯沼くん結婚するの!?誰と?」

「経理部の水野さんです」

「水野さん!?あの!?」

目の前で先程の俺と飯沼の会話をリプレイされているかのような会話が繰り広げられる。

そりゃ誰だってそんな反応になるよね。
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