意地悪な片思い
エピローグ
パチ。アラームよりも10分早く起きた私。
週末が開けた月曜日、私は出勤するための準備を始める。
朝食はもう食べた。ちなみにふりかけご飯と目玉焼き。味はしゃけだ。おにぎり用だからご飯の水分でしんなりするように、ちょっと乾燥気味なふりかけだったりするんだけど、それでもおいしい。
顔も洗って化粧も終えて、あとは着替えるだけ―――昨夜決めておいた服たちをベッドの上に置く。そこで私は、テーブルの上の例の雑誌を一瞥した。
大丈夫だよね…ちゃんと伝えられるよね。
だってこの色は“そういう意味”が含まれているんでしょう?
どきどきどきとはやる心臓を押さえつける。
下着をつけて、私は部屋着からシフォン生地のシンプルなトップスと黒のタイトスカートにしかえた。
髪をいつものように巻いて、後ろでそいつを結う。
うん、うまく巻けたぞ今日は。
化粧ノリも昨夜化粧水パックをしたせいか良い。それだけでちょっと気分が上がった。
「さて……」
鞄を持ち、つけていたテレビで今の時間を確認する。
バスはあと12分後にくる、そろそろでなくちゃ間に合わない。
そんな風に焦ってるってのに、電源を落とすと、カバンを持ったまま私は洗面台の前にもう一度立つ。
大丈夫、大丈夫。
自分の顔を見ながら言い聞かせて、私は家を後にした。