新しいカンケイ
「ねえ、お父さん、お母さん。なんで、都世のお父さん、お母さんは、一緒にいないの?」
「それはね、月待ち婚、て言うんだよ。昔むかしも、似たような結婚のかたちがあったんだよ。時代と共に結婚のかたちも、変化するんだよ。だから、心配しなくてもいいんだよ」
「そうなんだ。おやすみなさい」

「大きくなったよね」
「そうだな」
「この子が大人になった時には、この、月待ち婚、けっこうメジャーになってたりして」
「いざというときは、親に預けれていいよな。こうして、親子でゆっくり過ごせるのも、親に頼ってこころの余裕があるからだろ」
「ま、私にとっては、仕事も育児もひとりでは出来ないって考えてたし、旦那さまもゆくゆくはお家に入ってくれるし、すべてにおいて、win winなカンケイだね」
「そりゃ、良かったな」
「うん、幸せだよ」
「離れていても、気持ちは繋がっているって、いつも感じている?」
「うん」
「それは、俺の香水作戦が、成功したんだな」
「そうかもね、気持ちがキーィって、なった時に、香りで癒されてるから。香りって大事だね。そうそう、昔もお風呂に入れなかったときに、お香を焚いて着物に香りをつけてたんだよ」
「おまえ、以外と古風なところあるんだな」
「そうなのよ。私は平安時代が好きなの。人間の欲が渦巻く世界が端的に現されている時代だから」
「ひとは、見かけによらないね」
「勝手に言っといて」

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