クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
「え、香奈ちゃん、本当に!?」

「すごい偶然だね。どうして早く言ってくれなかったの?」

周りにいたアヤちゃんを始め、皆が聞いてくる。

「いや……部署は全然違うし、めったに会わないし、わざわざ皆に知らせて回ることもないかなと思って……」

「じゃあさ、黒本さん、って女の子知ってる?」

相川くんの質問に、私は驚いた。

……何で知ってるんだろう……彰斗の彼女のこと。

「美人だよな」

「……相川くん、知ってるの?」

「この前、江田に会った時、付き合ってる彼女のこと、自慢された。写真まで見せられてさ」

「……へぇ」

「おい、相川!余計なこと言うなよ!」

少し慌てたように、彰斗が私達の間に割って入った。

……いやいや、もう私、知ってるからね。今さら聞いてもへこまないし。逆に、そんな風に気を遣われると、余計に惨めになるんですけど……。

私はわざと明るい声を出した。

「あ、うん、黒本さんなら知ってるよ。社内一の美人だから。そっか、江田くん、彼女と付き合ってるんだ。お似合いだね」

「……」

彰斗は沈黙している。その表情も固い。

ちょっと……! 照れるとか、嬉しそうにするとか、何か反応示してよ。何で彰斗がそんな顔してるのか、皆が不思議に思うじゃない。

「でもさ、江田も良かったな。幸せそうで。次、結婚するのはお前かもしれないな」

「相川、もうやめろよ」

「照れるなよ。良かったのは、本当のことだろ? 前の彼女がなかなか別れてくれなくて困ってた、って言ってただろ」




え……?


前の彼女、って……まさか……。


< 107 / 167 >

この作品をシェア

pagetop