クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
定時に仕事を切り上げ、会社を出た。
何とか気力を保ち、電車に乗り、徒歩で帰路につく。
自宅マンションに着いたときには、熱でもうふらふらだった。
玄関に入った時、無事に帰ってこれた安心感から、どっと疲れが増した。
ジャケットを脱ぎ捨てると、スカートがシワになるのも構わずにベッドに倒れ込み、そのまま深い眠りについた。
チッチッ……と、微かに時を刻む秒針の音と、全身にまとわりつく汗の気持ち悪さで目を覚ました。
ゆっくりと上体を起こして、部屋の明かりを点ける。
時計は夜八時を指していた。
……病院、もう閉まっちゃった……仕方ない、明日行こう……。
私は棚から、市販の風邪薬を出した。その前にお腹に何か入れないと、と冷蔵庫の中から常備しておいたヨーグルトを取り出し、ゆっくり口に流し込んだ。
熱を計ってみると、寝汗をかいたせいか、少し下がっている。
体の動きも会社にいる時より、だいぶ軽くなった。
……ああ、汗が冷えて、気持ち悪い……着替えなきゃ……。
そう思い、ブラウスのボタンを外していた時。
スマホの着信音が鳴った。
……ええと、どこに置いたっけ……?
音は、遠くから聞こえていて、その方を見ると、バッグが玄関に置き去りにされていたままだった。
スマホの画面を見て、慌てて電話に出た。
小野原さんからだ……!
「もしもし……」
『香奈、起きてたか?』
「あ、はい」
『体調はどうだ?』
「え……?」
『香奈が定時で帰った、と笹倉さんから聞いた』
「あ、ああ……そうなんです……。でも、もう大丈夫です」
私は少し声のトーンを明るめにした。
今、小野原さんは朱音さんのことでいろいろ大変だと思う。昨日もずっと病院にいたと思うし。
私のことで、余計な心配をかけたくなかった。
何とか気力を保ち、電車に乗り、徒歩で帰路につく。
自宅マンションに着いたときには、熱でもうふらふらだった。
玄関に入った時、無事に帰ってこれた安心感から、どっと疲れが増した。
ジャケットを脱ぎ捨てると、スカートがシワになるのも構わずにベッドに倒れ込み、そのまま深い眠りについた。
チッチッ……と、微かに時を刻む秒針の音と、全身にまとわりつく汗の気持ち悪さで目を覚ました。
ゆっくりと上体を起こして、部屋の明かりを点ける。
時計は夜八時を指していた。
……病院、もう閉まっちゃった……仕方ない、明日行こう……。
私は棚から、市販の風邪薬を出した。その前にお腹に何か入れないと、と冷蔵庫の中から常備しておいたヨーグルトを取り出し、ゆっくり口に流し込んだ。
熱を計ってみると、寝汗をかいたせいか、少し下がっている。
体の動きも会社にいる時より、だいぶ軽くなった。
……ああ、汗が冷えて、気持ち悪い……着替えなきゃ……。
そう思い、ブラウスのボタンを外していた時。
スマホの着信音が鳴った。
……ええと、どこに置いたっけ……?
音は、遠くから聞こえていて、その方を見ると、バッグが玄関に置き去りにされていたままだった。
スマホの画面を見て、慌てて電話に出た。
小野原さんからだ……!
「もしもし……」
『香奈、起きてたか?』
「あ、はい」
『体調はどうだ?』
「え……?」
『香奈が定時で帰った、と笹倉さんから聞いた』
「あ、ああ……そうなんです……。でも、もう大丈夫です」
私は少し声のトーンを明るめにした。
今、小野原さんは朱音さんのことでいろいろ大変だと思う。昨日もずっと病院にいたと思うし。
私のことで、余計な心配をかけたくなかった。