クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
って、思ってたんだけど。

『香奈、俺に心配かけないために無理してるじゃないだろうな』

「……え、そんなこと、ないですよ……」

バレてた……。

『今、近くまで来てる。もし、迷惑じゃなかったら、少し顔を見たいんだが』

……体が弱ってる時、一人暮らしだとどうしても心細くなっちゃうから……やっぱり心配してくれてるのはすごく嬉しいな……。

「あ、はい……。でも、小野原さんに風邪がうっちゃいますよ」

『俺は丈夫だから、平気だ。顔だけ見たらすぐに帰るから。部屋番号教えてくれるか?』

「302です」と答えると、『すぐ行く』と返事があって、電話が切れた。

すると、その直後、インターホンが鳴った。

「え……?」

ドア穴からのぞくと、眼鏡をかけたスーツ姿の男性が立っている。

小野原さん……!早っ!早すぎない!?

何、瞬間移動!?

普通ならそんなことあるわけないのに、私は一瞬本気でそう思ってしまった。

急いでドアを開ける。

「……あ……早かったですね……」

「マンションの下から電話してた」

「……そうなんですか……」

それって、近いとかのレベルじゃないよね……ビックリした……まあ、どうでもいいか。

私は小野原さんを玄関に招き入れた。

「熱は?」

「大丈夫です、帰ってからすぐに寝たので、もうだいぶ下がりました」

「そうか……寝癖がついてる」

「えっ」

しまった、起きてからそのままにしてたから髪の毛、きっとボサボサだ!

「それと、ちゃんと俺だと確認してから玄関を開けたか?香奈は時々、無防備だから」

「無防備じゃないですよ、ちゃんと小野原さんだと分かって、ドア開けましたから」

「じゃあ、その格好は?」

「え……?」

「俺だと分かって、誘ってるのか?」

小野原さんの視線を追って、私も下に目を向けると--

「!」

はだけたブラウスから、中の下着が丸見えだった……!

ああっ、着替えようとして、ボタン全部外したままで、すっかり忘れてた!

私のばかっ!



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