クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
「あら、顔が少し赤くなった。やっぱりそういう関係?」

「……ええと、その……」

笹倉さんがどこまで知ってるのかも分からないし、返答に困っていると、

「ああ、びっくりさせちゃってごめんね」と笹倉さんが微笑んだ。

「月曜日の定時後、珍しく小野原課長がここに顔を出したのよ。永沢さんはいないんですか?って聞いてきたの。最初は、頼んでる資料とか、何か仕事で用があったのかな、って思ったんだけど……。でも、どうやら違うみたいだから、気になりますか?って、半分からかうつもりで聞いたんだけどね……」

笹倉さんはその時のことを思い出したのか、フフッと吹き出した。

「はい、俺の大切な人なので、だって!しかも、あのポーカーフェイスで!」

「……」

……何、堂々と答えちゃってるんですか、小野原さん……。

「別に、とか、そういうありきたりな返事が返ってくると思ってたから、あんなにストレートに言われて、耳を疑っちゃったわよ。あ、でも、ちょうどその時、周りに誰もいなかったから、私以外、聞いてないし、もちろん誰にも言ってないから安心して」

「……はい、ありがとうございます……」

ああ、笹倉さんで良かった……もし、他の人だったら、たちまち新幹線並みのスピードで、噂が社内中を駆け巡ったに違いない。

いや、もしかしたら小野原さんも人を選んで聞いたのかもしれない。

「そっかー、社内一のモテ男のハートを射止めたのは、永沢さんだったか」

「そんな、射止めたなんて……そんな大それたことは……」

私が慌てて首を横に振ると、笹倉さんはにっこり笑った。

「最近の永沢さんの雰囲気を変えたのは、あの人でしょ。大切にされてるのね」




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