クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
「アイツ、結構わがままでさ……。俺、香奈の良さがようやく分かったんだ。勝手なのは分かってるよ、でも、もう一度やり直したいんだ」

……やり直したい……? どの口が言ってるの……!?

「やめてよ!」

私は声を荒らげた。これ以上、聞いていたくなかった。

「勝手に一方的にフラれて、私がどれだけ落ち込んだと思ってるの!? それに人のこと、あれだけ馬鹿にしておいて! 気に入らなくなったら、すぐ捨てて、近くの女に言い寄って、あんたって最低ね!!」

その途端、彰斗の目付きが変わった。そして、私の肩を掴んで、恐ろしいほどの力でグッと棚に押し付けた。

「……きゃっ!」

「落ち込んだ、だって?本当にそうか?すぐに新しい男が出来て、うかれてたんじゃないのか?」

突然の彼の変わり様に、一瞬、ひるんでしまう。

「……ちょっと、痛い! 何のこと……」

「小野原課長だよ」

「え……?」

どうして彰斗の口から……小野原さんの名前が……?

私は驚きで言葉を失った。

そんな私の様子を見て、彰斗は勝ち誇ったように、口を歪めた。

「やっぱりな」

「……なん……で……」

「月曜日、課長がお前の部屋から出てくるのを見たんだよ」

「……!」

「俺はすぐ階段に隠れたから、あの人は気付かなかったみたいだけどな。部屋に入れる、ってことは、深い関係なのか?もう抱かれたのか?」

「……そんなこと、あんたに関係ないっ……!」

別れた女が何をやってても、関係ないはずなのに、何で彰斗がそこまで小野原さんのことに突っかかってくるのか、分からなかった。

「大人しそうな顔して、どうやって言い寄ったんだ?」



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