クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
「そんなこと、してない……っ」

「じゃあ、あの人に口説かれたのか? そりゃ、あのルックスで将来性もあるし、声掛けられて、舞い上がったんだろうな」

肩にかかる彰斗の力がさらに強くなる。

「だけど、向こうもお前のそんな反応見て、楽しんでるだけかもしれないぞ?」

「なっ……!」

「お前だって、釣り合わないって感じることはあっただろ?身の程わきまえて、目を覚ませよ」


釣り合わない……。

私だって、自分のことは、よく分かってる。

美人でもなければ、バリバリに仕事が出来るキャリアウーマンでもないし、強い人間でもない。

だけど……何で、彰斗にそんな言い方されないといけないの……?

……悔しい……!


バチンッ……!


私は、空いている方の手で、彰斗の頬を叩いた。

「確かに、最初は小野原さんの気まぐれだと思ったわよ!だから、もし小野原さんと付き合えば……誰もが羨むあの人と付き合えば、彰斗を見返せる……そう思った!……だけ--」

だけど、と続きを言おうとした、その時--。






「そこで何をしている?」





聞き慣れた、低い声が資料室に響いた。

私と彰斗、ほぼ同時にその声の方を向く。

そこには……



小野原さんが立っていた。



……いつから、いたの……?






< 140 / 167 >

この作品をシェア

pagetop