クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
「俺の部屋に来るか?」

「あ、はい」

二人で手をつないで、マンションのエントランスを通り抜ける。

そして部屋の玄関に入るなり、背中を壁に押し付けられた。

「中に入るまで、我慢出来ない」

ゆっくり小野原さんの顔が近付いてくる。

……キスされる……!

私はとっさに顔を両手で覆った。

「どうしたんだ?」

「……あんまり明るい所で顔見られたくなくて……」

「何で?」

「……昨日、小野原さんのこと、ずっと考えてたら、眠れなくて……目の下にクマが出来て……」

「そうだったのか……悪いな」

小野原さんは私の手を掴んで左右に開くと、のぞきこむように身を屈めた。

「悪いが、二日連続で寝不足決定だ」

「え?」

小野原さんが口の端を上げる。

その眼鏡の奥の熱い瞳にとらわれ、身動きが出来ず、背筋がゾクリと震えた。

「今夜は寝かせてやれない」

「えっ……それ……ん……っ」

こちらが何か言う前に、唇をふさがれた。



……悪い、って……そっちの意味なの……!?

息もつかせないほどのキスを受けながら、小野原さんの言葉の意味を理解する。

それに、ちょっと今……小野原さんのSな部分を垣間見たような気がしたんだけど……。

……でも、まあ、いいか……。

小野原さんの違う一面を、また知れるかな、なんて思ったりして……。


私は、ゆっくりと彼の首に手を回した……。




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