クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
静かなフロアに、キーボードを叩く音だけが、響く。
私は、チラッと横目で、課長を見た。
横顔も文句なしにカッコいい。そしてキーボードを叩く早さも尋常じゃない。……さすがです。
って、見とれてる場合じゃないから。早くしないと怒られそう。
私は頭と手をフル稼働して、残りの作業に集中した。
「……やっと終わった……。課長、ありがとうござ……」
言いながら課長の方をを見ると、横のパソコン画面はもうすでに真っ暗になっていて、部署の出口に向かう課長の後ろ姿が目に入った。
「あのっ、ありがとうございました!」
その後ろ姿に声を張り上げる。
「終わったら、早く片付けるように。この大雨で電車が止まるかもしれない」
それだけ言うと、課長は出ていった。
私は急いで資料の束をまとめると、帰りの準備を始めた。