クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
あ、今、『俺』って、言ってたな……。最初に会った時もそうだったような……。

「以前、大学時代のOBで集まることがあって、その中にあの女性もいました。私は女性に見覚えが無く、その時は話もせず、場はお開きになったのですが」

課長の口調は戻っていた。
ていうか、見覚えないって、その人もお気の毒な……。

「後日、OBの一人から、今度は男女半々の少人数で出掛けよう、と誘いがありました。乗り気がせず、断り続けていたんですが、あまりにもしつこいので、一回きりということで、了承しました」

合コンみたいなものか……。

「ところが、集合場所に来てみると、あの女性しか来ていませんでした。どうやら、主催者と女性が仕組んだようでした」

課長と二人きりになりたかったわけね。そりゃ、イケメンで独身、仕事出来るって分かったら、グイグイ行ける人は行きたいよね。

「馬鹿馬鹿しくなって、帰ろうとしたんですが、その女性にどうしても行きたい場所がある、と懇願されました。これっきりだからと言うので、私も今回が最後だと念押しして、車に乗せることにしました」

「その行き先が、あの神社だったんですか?」

「ええ。何かの情報誌で知ったようです。ですが、私は何の神社か知りませんでした。着いた時に縁結び神社だとようやく分かりました。一緒に来てくれと言われましたが……」

「……?」

「一人で行ってくれと言いました」

え? 何で?

「私はああいう場所は、好きな者同士で行けばいいと思っています。あの女性には特別何の感情もありませんでした」

「……それ、実際に口に出して言ったんじゃないですよね?」

「言いましたよ」

「……」

マジですか……?

< 23 / 167 >

この作品をシェア

pagetop