クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
眼鏡越しに、真剣な瞳で見つめられる。

今度は意味を理解した。

その瞬間、私は持っていたカップを落っことしそうにった。

「あの……その発想どこから来るんですか?冗談ならやめて下さい」

「冗談でこんなことは言わない」

「今、課長の好きな人の話してたんですよ?」

「だから、言った」

……うそ……何、本気なの……?

「それで、返事は?」

「へ、返事!?」

「応援してくれる、って言いましたよね?」

「ちょっと待って下さい!」

あー、頭がついていかない。何でこうなった?

「課長、人違いですよ」

「え?」

「だって、その人は仕事が丁寧で可愛い人なんでしょ? どう見たって、私じゃありませんよ」

「俺はそう思ってるけど」

……あ、ちょっと口調が砕けた感じになってる。
って、今はそんなことどうでもいい!

「む、無理です」

「何で?」

「だって、ほぼ今日で初対面だし……」

「俺は前から見てたよ」

見てたって、いつから!?

「それに私、課長のこと、よく知らないし……」

「よく知らないからこそ、何度か会ったりするうちに、相手のことがより分かるようになる、と言ったのは君だ。無理と決めつけるのは早い」

「う……」

確かに言ったけど……。

こういうの何て言うんだっけ? あ、墓穴を掘る、だ。……いやいや、まだ掘ってないし、今から埋めればまだ間に合う。

とにかく何とかして、諦めてもらわなくては。

だって、さっきの話聞いて、付き合いたいって思う?


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