クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
「でも、その時初めて真っ直ぐに、間近で見た香奈の目がキレイで……吸い込まれそうになった。香奈のことをもっと知りたいと思った。会社の人間じゃなく、一人の男として」

小野原さんにじっと見つめられ、胸の鼓動が早くなるのが分かる。

「だから、勘違いされたと思った時は焦った。何とか誤解を解こうと、頭の中はそれでいっぱいだ」

焦る……? 冷静沈着なこの人が……?

「でも、他の女を車に乗せたのは事実だし、言い訳だけする軽い男だと思われても仕方がないと思った」

「……」

確かに、聞き手によっては言い訳だと判断されかねない。でも、私は同じ社の課長だと気付いていなかったわけだから、最初から黙ってれば良かった話じゃないの……?

それをわざわざ言ってくるなんて、正直を通り越して……

「小野原さんって、見かけによらず不器用なんですね……」

「……何?」

「ふふ、いいえ、何でもありません」

……誰よ、恋愛上級者だなんて言ったのは。

あ、私か……。

でも、小野原さんの意外な一面を見た気がして、心が軽くなった。

「話してくれてありがとうございます」

と言うと、小野原さんは、少し安心したように表情を緩めた。



「ここから会社見えますかね?」
「それはちょっと無理だな」

それから、食事と夜景を楽しみながら、話をした。話といっても、ほとんど内容は仕事のことだったけど、仕事に生かせる知識を教えてもらって、時が経つのを忘れた。




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