クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
もう十月か……。

掃除を終え、壁に掛けていたカレンダーに目が止まった。

下旬の土曜日に大きな丸印と、『結婚式』の文字が書き込んである。

もうすぐ、友達の結婚式だっけ……。

新郎と新婦は、九年越しの交際を経て、この度結婚する。二人とも大学の同じサークル仲間だった。

人が自然と周りに集まってくるような、私も大好きな二人だ。

ここ最近は全然会ってなかったけど、二人が結婚すると聞いて、心から嬉しかったし、数ヶ月前に招待状が届いて、もちろん出席に丸を付けた。

ということは、彰斗も来るだろう。彰斗と新郎は、仲の良い親友だからだ。

私達が付き合っていたことは、サークル仲間は誰も知らない。

『何で皆には内緒にしとくの?』

『だって、その方が、このままずっと付き合いが続くとして、もし俺達が結婚することになったら、皆ビックリするだろ?』

付き合い始めの頃、私の質問に彰斗はそう答えた。

彰斗は皆を楽しませたり、驚かせることが好きな人だった。だから、『そうだね』と私も納得していた。それよりも、彰斗の口から出た『結婚』という言葉に酔いしれていたのかもしれない……。

だけど、今となっては、それで良かったと思ってる。周りに変な気遣いをされたくないし。

この日は、あくまで普通の態度でいよう……。




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