クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
つい最近まで、笑顔なんか全く見せない、近寄り難い人だと思ってたのに――

そう思いながら、横に視線をずらした私は、「ヒッ……」と小さく声を出してしまった。

だって、朱音さんが、めちゃくちゃ怖い顔でこっちをにらんでるーー!

「楽しかった、なんて昨日何があったんだ、あぁ!?」とでも言いたげな表情だ。

キスしました、なんて言ったら、絶対噛みつかれるな……。

「……じゃあ、私はこれで……」

と、私は頭を下げ、横を通り過ぎようとした時。

「待って、香奈」

小野原さんに呼び止められる。

「……はい?」

「この後、予定ある?」

「えっと、夕方から友達が遊びに来ることになってて……」

「じゃ、それまで俺の家に来ないか?すぐそこなんだ」

……小野原さんの家に……?



「ええーっ!?」



と、先に反応したのは私ではなく、朱音さんだった。

「だめ、ダメダメダメ!お兄ちゃんが襲われるよ!」

「……」

……私、この子に何だと思われてるんだろ……。

「大丈夫だって、言っただろ、朱音。お前も一緒なら文句はないな?」

「……分かったわよ……」

不機嫌そうに答える朱音さん。


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