クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
妹弟の半ば無責任な会話を聞きながら、さっき潤が言ったことも分かるな、と思った。

私はこれまで最長で一年しか、交際が続いたことがない。

ところが、恵美は高校時代から付き合ってる彼と、なんと七年間ロングラン更新中なのだ。

実家に戻って恵美に会うたびに、何かキラキラ輝いて見える。

……これが、リア充のパワーか。

恵美は天真爛漫で、自分に素直で、きっと、彼氏も一緒に楽しんだろうな。私とは大違い。

やがて、潤がお菓子を取りにキッチンへ姿を消すと、恵美が小声で言った。

「お姉ちゃんが新年早々、恋人と別れたこと、お母さん相当ショックだったみたいよ。最後のチャンスだと思ってたみたいだから。新しい出会いもな無さそうだし、もう、お見合いしかない、って決め込んでるんじゃない?」

「最後のチャンス、とか、親に言われたくないよ……余計みじめになる」

「……元彼とやり直す気、ないの?」

「……何で?」

「だって、新しい就職先で、偶然、再会したんでしょ?」

「だからって、今さら何がある、っていうの?もう終わったことだし。……あ、もう行かなきゃ」

私は壁の時計を見て、立ち上がった。

「じゃあね、恵美。またこっちにも遊びにおいでね。お母さーん、潤ー!私、帰るね。何かあったらまた連絡してねー」

そう言い残すと、急いで玄関で靴を履き、外へ出た。

心地好い風が私の髪を揺らす。日は西に傾き掛けている。

日曜日の夕方、境内に参拝者は一人もいない。

私は鳥居をくぐり、バスの通る道路に続く、長い石段を降り始めた。

すると、一番下で立っている人影が二つ見えた。若い男女のようだ。

カップルで今から参拝に来たのかな。それとも、その帰りだろうか。

特に気にせず下りていくと、何か様子がおかしいことに気が付いた。


……あれって……もしかして、モメてる?

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