クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
『香奈は、そういうのが好きなのか?』

『……』

……マニアックな女だと思われたかな……? でも、好きなものは好きだし、この際、バレても仕方ない。もう言っちゃったし。

『はい、好きなんです。……でも、もし嫌だったら、他のにしましょう?』

『いや、俺も好きで、実はDVD全部持ってる』

『ホントですか? 私もなんです!』

些細なことだけど、意見が一致して嬉しい。

『楽しみだな』

『はい!』

『映画もだけど、職場以外で香奈に会えるのが
。土曜日は独り占め出来るな』

『……!』

また不意討ちを喰らった……。

この人がストレートなのか、私の免疫が無さすぎるのか。

……急にそんなこと言われたら、照れるに決まってるでしょ。そういうの、慣れてないから!

今、思い出しただけでも、顔が赤くなりそう。

でも、そんな甘いこと言ってきた当人は――




今日も至って、普段通り、揺るぎなく、クールだった。




午前中に、一度廊下ですれ違ったけど、いつもの彼だった。表面からは何も読み取れない。

多分、これがこの人のスタンスなんだと思う。会社に来たら、仕事のスイッチが入るんだろうな。忙しい人だから。

また、確かに会社には仕事してきてるんであって、恋愛しに来てるんじゃないもんね。


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