クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
「香奈……それは」
「小野原さんのせいじゃないんです!私が悪いんです!」
途中だった小野原さんの言葉を遮るように、私は声のトーンを上げた。
「……何で? 納得出来る理由を聞きたい」
小野原さんの声は、あくまで落ち着いている。
「……さっき……」
「うん」
「……さっき、元カレを見ました」
私は、ぎゅっと目を閉じた。もう……全部話そう。
「……今年に入ってすぐ、彼に別れを告げられました。『お前との結婚は考えられない』って……。その彼と付き合ってたのは、たった一年でしたが、私にとって初めての彼でした」
「……」
「……私は彼との未来を夢見てただけに、ショックでした……。彼を忘れようとしてみたんですけどなかなか難しくて……そんな時に小野原さんに出会って……。これじゃいけない、前に進みたいと思って、先日なんですけど、たまたま元カレと話す機会が、ありました」
「……」
雨足は徐々に激しさを増し、フロントガラスを滝のように流れていく。
本来なら、ここから海の景色が見えるはずだけど、この雨のせいで何も見えない。
静寂の中、聞こえるのは雨音だけ。
小野原さんは黙って私の話を聞いていた。
「その時は、自分でもビックリするぐらい、気持ちが穏やかで、彼に対する感情も付き合ってた時の気持ちとは、どこか違っていて……これなら大丈夫、前に進めるかも、って思いました……でも」
私は、スカートを握りしめた。
「さっき、その彼が新しい彼女といるのを見ました……。とても楽しそうにしてて……」
閉じたまぶたから、涙が一筋こぼれ出す。
「……分かってるんです。彼には彼の人生があって、別れた私が束縛する権利なんかこれっぽっちも無いってこと……誰を選ぼうと、彼の自由なんだ、ってこと……頭では分かりきってることなのに……!」
話しながら、次第に頬を伝う涙の量が増えていく。
「実際に……仲の良い二人を見てしまったら……彼とのいろんな思い出がよみがえってきて……。じゃあ私の何がいけなかったの、って……私の何が……彼の中で、『無い』という判断を下してしまったんだろう、って……!」
きっと小野原さんは呆れながら聞いていることだろう。
それでいい。だって、これが今の私の……本当の姿だから。
「……私、ちっとも前に進めてなかったんです……こんな気持ちのままじゃ、小野原さんに申し訳ないです……」
「香奈」
「だから、お付き合いは出――」
出来ません、と言おうとした時、突然、勢いよく腕を引かれた。
「小野原さんのせいじゃないんです!私が悪いんです!」
途中だった小野原さんの言葉を遮るように、私は声のトーンを上げた。
「……何で? 納得出来る理由を聞きたい」
小野原さんの声は、あくまで落ち着いている。
「……さっき……」
「うん」
「……さっき、元カレを見ました」
私は、ぎゅっと目を閉じた。もう……全部話そう。
「……今年に入ってすぐ、彼に別れを告げられました。『お前との結婚は考えられない』って……。その彼と付き合ってたのは、たった一年でしたが、私にとって初めての彼でした」
「……」
「……私は彼との未来を夢見てただけに、ショックでした……。彼を忘れようとしてみたんですけどなかなか難しくて……そんな時に小野原さんに出会って……。これじゃいけない、前に進みたいと思って、先日なんですけど、たまたま元カレと話す機会が、ありました」
「……」
雨足は徐々に激しさを増し、フロントガラスを滝のように流れていく。
本来なら、ここから海の景色が見えるはずだけど、この雨のせいで何も見えない。
静寂の中、聞こえるのは雨音だけ。
小野原さんは黙って私の話を聞いていた。
「その時は、自分でもビックリするぐらい、気持ちが穏やかで、彼に対する感情も付き合ってた時の気持ちとは、どこか違っていて……これなら大丈夫、前に進めるかも、って思いました……でも」
私は、スカートを握りしめた。
「さっき、その彼が新しい彼女といるのを見ました……。とても楽しそうにしてて……」
閉じたまぶたから、涙が一筋こぼれ出す。
「……分かってるんです。彼には彼の人生があって、別れた私が束縛する権利なんかこれっぽっちも無いってこと……誰を選ぼうと、彼の自由なんだ、ってこと……頭では分かりきってることなのに……!」
話しながら、次第に頬を伝う涙の量が増えていく。
「実際に……仲の良い二人を見てしまったら……彼とのいろんな思い出がよみがえってきて……。じゃあ私の何がいけなかったの、って……私の何が……彼の中で、『無い』という判断を下してしまったんだろう、って……!」
きっと小野原さんは呆れながら聞いていることだろう。
それでいい。だって、これが今の私の……本当の姿だから。
「……私、ちっとも前に進めてなかったんです……こんな気持ちのままじゃ、小野原さんに申し訳ないです……」
「香奈」
「だから、お付き合いは出――」
出来ません、と言おうとした時、突然、勢いよく腕を引かれた。