クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
当時から、彰斗は頭が良くて、格好良くて、爽やかで、いつも皆の中心にいて目立っていた。
彰斗とは数回しか話したことはなかったけど、気遣いも上手で、優しかったのを覚えている。
彼はその時、付き合っている彼女がいたので、当然、私達はただのサークル仲間だった。
やがて卒業を迎え、彰斗は大手企業に就職。私は、複数入社試験を受けた中で、唯一内定が出た中小企業に入社した。
私も社会人になって、それなりに出会いの場はあったけど、さっき説明した通り、なかなか次に繋げることが出来なかった。
一人暮らしのマンションと会社を往き来する単調な毎日が続き、いつしか恋も面倒になり、完全に恋愛ニート状態だった、二十七歳の一月のある日。
駅で偶然、数年ぶりに彰斗と再会した。
彰斗もその時、恋人がいなくて、意気投合した私達は付き合うことになった。
彰斗の存在は、私を灰色の世界から連れ出してくれたようだった。彰斗とは友人だったこともあって、初対面の男性に接するような苦手意識は、もちろん起こらなかったし、一緒に過ごす時間はとても楽しかった。
やがて、付き合って間もなく一年になろうとしていた時、「大事な話がある」と、連絡があった。
二十八歳になったばかり。年齢的にも結婚を意識してたし、そういう話だろうと信じて疑ってなかった。
でも――
カフェに現れた彰斗の顔は、なぜか冴えていなかった。