クール上司の甘すぎ捕獲宣言!




「えー、永沢さん、今週の金曜日の飲み会、行かないんですか?出欠取るの、今日までですよ。 迷ってるなら、行きましょうよ」

月曜日の昼休み。

パスタ専門店で、私の前の席に座っていたギャルっぽい女子社員が尋ねた。

彼女は同じ部署の森さん。派手な見た目から最初は取っ付きにくい印象を受けたけど、話してみると結構、真面目でしっかりした女の子だった。

「森ちゃん、行く行かないは個人の自由でしょ」

そう言ったのは、同じくテーブルを囲っている、鈴木さんという女の子。長い黒髪を一つに束ね、お化粧も控え目な彼女と、イケイケの森さんの外見は正反対だけど、二人は同期で仲が良いらしい。

先日の机の配置替えで、たまたま近くの席になった彼女達と話す機会も多くなり、そこに笹倉さんも加わって、最近ではよく四人で昼休みを過ごすことが多くなった。

「行かないと決めたわけじゃないんですけど……私、飲み会って、ちょっと苦手で……」

年上の笹倉さんにはもちろんだけど、二十五歳の二人にも敬語を使ってしまうのは、彼女達の方がこの会社での勤続年数が長いからだ。

「あー、また敬語になってるぅ。永沢さん、タメ口でいいっスよ、タメ口で。ね、鈴ちゃん?」

「そうですよ、永沢さん。私達の方が年下ですから。それと、森ちゃんは言い方軽すぎ」

と、鈴木さんが突っ込む。

二人とも良い人だ。

「うちの部署、営業部とかみたいに、頻繁に飲み会とか無いから行ってみない?永沢さん、初めてよね?」

笹倉さんが尋ねる。

そう。この会社に再就職して、約七ヶ月。それまで何度か飲み会はあったけど、いつも欠席していた。理由は、まだ親しくもない男性と何を話していいか分からないから。うちの部署は女子の数が少ないし、男性の横の席になるのは確実だ。


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