クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
顔を背けて、宙に目を泳がせる。でも、すぐにハッとした。

「……じゃあ昨日、小野原さんは、どこで寝たんですか?」

「ん?……ああ、ここ」

小野原さんは今、座っているソファーを指差した。

このソファーは幅も広いけど、長身の小野原さんが横になれば、確実に体がはみ出てしまう。
それじゃ、あまり眠れなかったんじゃ……。

「……すみません、私がベッドを占領してしまったせいで……眠れなかったんじゃないですか?」

「俺はどこでも寝られるから、気にするな」

「そうだとしても申し訳ないです。それに、助けて下さって本当にありがとうございました」

私は頭を下げる。

あの時、小野原さんが来てくれなかったら、どうなっていたか分からない。全然知らない人に、危険な目に遭わされていたかもしれない。

「小野原さんで安心しました」

「そうか……」

「はい。小野原さんじゃなかったら、どんな目に遭ってたか……」

「そう言われると……何か、複雑だな」

小野原さんは少し真顔になった。

「……警戒させたくはないが、安全な男だと思われるのも、複雑だ。正直言うと、寝不足なんだぞ」

「あ……ごめんなさい、やっぱりソファーだから……」

「違う。……何で俺が眠れなかったのか、本当の理由を教えようか」

「え?」

「寝室のドアを開けたい衝動と戦ってたからだ。開けて、香奈が俺のベッドで寝てるのを見てしまったら……理性を保てるか自信が無かったから」

「……!」

何て……爆弾発言。

……でも、開けてもらわなくて、助かった……。私、あられもない姿だったし。

……いや、もしかしたら、私の体を見て、逆に幻滅してたかも……。自分の体に自信が無いの
って、何か悲しいな……。

「意識の無い女性を無理に抱くような趣味はない。でも……今はどうだろうか」

その言葉の意味が分からず、首をかしげる。

すると、小野原さんの手が私の頬に触れた。

それとほぼ同時に肩を抱き寄せられ、お互いの顔が近付く。

「……えっと……小野原さん……?」






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