クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
「そうだよな……やっぱり俺じゃなぁ……」
少し寂しそうに微笑むトモくんに、私は慌てて顔の前で手首を横に振る。
「あのね、違うの、トモくんが嫌とかじゃないの。私のは心がそうすることを許さない、っていうか……。そう言ってくれるトモくんの気持ちはすごく嬉しいんだけど……」
嬉しいのは正直な感想だ。今まで何せ、モテたことがないものですから……。
でも、ちゃんと説明しなきゃ、トモくんの真剣な申し出に失礼だ。
「実は、同じ会社の人に、付き合ってほしい、って言われてて……。カッコよくて、仕事も出来て、とっくにすごい美人な彼女がいても全然おかしくない人で、何で私なのか、不思議なくらいなんだけど」
何台もの車のヘッドライトの光が、私達の前を通り過ぎていく。
「私ね、恥ずかしい話、ずっと元カレのこと引きずってたんだけど、その人はそんな私でも受け入れるって言ってくれて……。答えはまだ出せてないんだけど、その人の気持ちにちゃんと向き合いたいから……他の男の人とは二人きりになれない」
「……」
トモくんは少し沈黙した後、「そっか」とつぶやいた。
「香奈ちゃんを困らせるようなこと言ってごめん」
「そんな、私こそ……」
「おばさんがお見合い相手探してるくらいだから、香奈ちゃんにいい人、いないと思ってた」
「ごめんね……まだ家族には言ってなくて。お母さん、私の恋が上手くいかなくなると、落ち込みが激しいから」
「おばさん、相変わらず心配性なんだね」
トモくんが笑う。良かった、表情が元に戻ってる。
「包容力のある人で、良かったね」
「……包容力……」
……そうか、小野原さんに対するあの安心感は……。
「香奈ちゃんて、三人姉弟の一番上だってこともあるんだろうけど、面倒見が良くて、昔から思ったこともワガママも言わずに、周りに合わせてるような感じしてたから、心配してたんだ」
……そういえば、小野原さんからも『もっと俺を頼れ』って言われたな……。
「だから、俺だったら香奈ちゃんがワガママ言っても受け止められる男になれる、って思ったんだけどな。……でも、今の話聞いて分かったよ。全部香奈ちゃんの中ではもう答え、出てるんだね」
「え?」
「だって、他の男と二人きりでは会えない、って、その人のこと大事に思ってなかったら、そんなこと思わないはずだよ」
「……」
私は何て答えていいか分からず、黙ってしまった。
その時、ちょうどバスが来た。
「じゃあ、香奈ちゃん、元気でね」
トモくんが明るい声で言う。
「……うん、トモくんも仕事頑張ってね。今日はいろいろありがとう。おじさんとおばさんによろしくね」
バスに乗り込んで、振り返ると、
「今度、両方の家族皆で、食事に行こう」
トモくんは爽やかな笑顔で、手を振ってくれた。
少し寂しそうに微笑むトモくんに、私は慌てて顔の前で手首を横に振る。
「あのね、違うの、トモくんが嫌とかじゃないの。私のは心がそうすることを許さない、っていうか……。そう言ってくれるトモくんの気持ちはすごく嬉しいんだけど……」
嬉しいのは正直な感想だ。今まで何せ、モテたことがないものですから……。
でも、ちゃんと説明しなきゃ、トモくんの真剣な申し出に失礼だ。
「実は、同じ会社の人に、付き合ってほしい、って言われてて……。カッコよくて、仕事も出来て、とっくにすごい美人な彼女がいても全然おかしくない人で、何で私なのか、不思議なくらいなんだけど」
何台もの車のヘッドライトの光が、私達の前を通り過ぎていく。
「私ね、恥ずかしい話、ずっと元カレのこと引きずってたんだけど、その人はそんな私でも受け入れるって言ってくれて……。答えはまだ出せてないんだけど、その人の気持ちにちゃんと向き合いたいから……他の男の人とは二人きりになれない」
「……」
トモくんは少し沈黙した後、「そっか」とつぶやいた。
「香奈ちゃんを困らせるようなこと言ってごめん」
「そんな、私こそ……」
「おばさんがお見合い相手探してるくらいだから、香奈ちゃんにいい人、いないと思ってた」
「ごめんね……まだ家族には言ってなくて。お母さん、私の恋が上手くいかなくなると、落ち込みが激しいから」
「おばさん、相変わらず心配性なんだね」
トモくんが笑う。良かった、表情が元に戻ってる。
「包容力のある人で、良かったね」
「……包容力……」
……そうか、小野原さんに対するあの安心感は……。
「香奈ちゃんて、三人姉弟の一番上だってこともあるんだろうけど、面倒見が良くて、昔から思ったこともワガママも言わずに、周りに合わせてるような感じしてたから、心配してたんだ」
……そういえば、小野原さんからも『もっと俺を頼れ』って言われたな……。
「だから、俺だったら香奈ちゃんがワガママ言っても受け止められる男になれる、って思ったんだけどな。……でも、今の話聞いて分かったよ。全部香奈ちゃんの中ではもう答え、出てるんだね」
「え?」
「だって、他の男と二人きりでは会えない、って、その人のこと大事に思ってなかったら、そんなこと思わないはずだよ」
「……」
私は何て答えていいか分からず、黙ってしまった。
その時、ちょうどバスが来た。
「じゃあ、香奈ちゃん、元気でね」
トモくんが明るい声で言う。
「……うん、トモくんも仕事頑張ってね。今日はいろいろありがとう。おじさんとおばさんによろしくね」
バスに乗り込んで、振り返ると、
「今度、両方の家族皆で、食事に行こう」
トモくんは爽やかな笑顔で、手を振ってくれた。