クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
てか、相変わらず、かっわいくない……っ。

でも元々、私、朱音さんに嫌われてたんだった……。

私はそのまま立ち去ろうとしたけど……朱音さんの顔色が良くないことに気付いた。何か、青白いような……。

「……朱音さん、もしかして体調悪いの?」

「関係ないでしょ」

「だけど……誰かに迎えに来てもらわなくてもいい?」

「いいってば。放っておいて」

……ああ、そうですか。

私はフーッとため息をついて、少し離れた自販機に向かった。

気分悪そうだし、ミネラルウォーターでも買って渡そう……。それでも、迷惑がられたら、もう知らない。

私は水の入ったペットボトルを持って、朱音さんの所に戻ろうとした。

すると、いつの間にか彼女の周りに二人ほど、男の人が立っているのが見えた。

……友達かな?

と思ったけど、何かチャラそうな男ばっかり……。

近付くと、会話が聞こえてきた。

「彼女、一人で何してるの?」

「暇だったら、俺らとどっか行かない?」

ナ、ナンパ!?

朱音さんは美人だから、周りが放っておかないのだろうけど!

朱音さんは何も答えず、フンと横を向いている。

「なあ、返事くらいしろって」

男の一人が、しびれを切らしたみたいに、朱音さんの腕を揺すった。

「痛いっ、何すんのよ!」

朱音さんはその手を跳ね退けようと肩を揺らして立ち上がろうとした途端、足下がふらついたようによろけてしまった。

それを男が支える。

「あれ、彼女体調悪いみたいだね。俺達と少し休もうよ」

……ヤバイ! これはヤバイ!

私は彼らの間に割って入り、朱音さんの体を支えた。

「ごめんなさい、この子、私の連れなの。もう帰るから」

「ちょっと、あんた、何を……」

朱音さんは不満の声をもらしたが、今は却下だ。悪いけど無視よ!

「あ?何なんだ?」

男達がにらんでくる。怖い……けど、このまま朱音さんを一人にしておけない。

……私も、昨日、小野原さんがいてくれなかったら、こうなっていたかもしれない。

「どけよ」

男の一人に肩を強く掴まれ、思わず「うっ……」と顔をしかめる。でも、引き下がるわけにはいかない。

このペットボトルを投げつけてやろうか……!
でも、逆にそれでケガでもさせたら、余計にややこしくなる……!




その時。

「おい、いい加減にしとけよ」


私達の背後で、低い男性の声がした。



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