クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
カフェの奥の席が空いていたので、私達はそこに座った。

小野原さんの友人が、コーヒーを買って持ってきてくれてけど、朱音さんは受け取る様子もなく、テーブルに突っ伏している。

私は、さっき自販機で買ったペットボトルを朱音さんの前に置いて、「良かったら飲んでね」と言ってみたけど、反応はない。

……大丈夫かな……。

「さっき、圭一に連絡したから、もうすぐここに来ると思う。……ええと、確か、圭一と同じ会社だったよな? 俺は高橋 将吾(たかはししょうご)。君は?」

「あ、永沢香奈です」

「永沢さん、朱音を助けてくれてありがとな」

「え、そんな……」

まさか、お礼を言われるとは思ってなかったので、慌てて首を横に振る。

「私の方こそ……高橋さんのおかげで助かりました。朱音さんのお知り合いの方がいらして、本当に良かったです」

「まあ、小さい頃から知ってるから、俺にとっても妹みたいなもんだ」

「……ずいぶん昔からのお知り合いなんですか? その……小野原さんと」

「そうだな……圭一とはガキの頃から一緒で、腐れ縁だな」

へぇ……小野原さんの幼なじみか……。小野原さんて小さい頃、どんな感じだったのかな?……ちょっと興味ある……。

「ところで」と、高橋さんが言った。

「永沢さんは圭一をどう思ってる?」

「えっ、ど、どうって……」

いきなりの問いに、うろたえてしまう。

そんなこと、さっき会ったばかりの人に聞かれるなんて……。それに、朱音さんの前で、言えるわけないよ……。

「アイツ、今、課長なんだろ?すごいよな」

「……あ、はい……」

……なんだ……会社での感想か……。

「ええ、周りからとても信頼されてますよ」

「そうか、さすがだな」

そう言ってコーヒーを飲む高橋さんの視線が、出入口の方を向いた。

「来たな」

「え?」

私もその方向を見ると、二人の男性が店に入ってきたところだった。

……一人は小野原さんだ!

もう一人は、ややウェーブがかった茶色の髪で
、小野原さんと同じくらい背が高い。

小野原さんは私達に気が付くと、早足でこちらに向かってきた。


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