婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
「樹さ……、ちょっ、待ってっ……!」
樹さんがなにをしようとしているか、全面的に理解した途端、頭にまでゾクッと刺激が走るのを感じた。
彼のベッドに転がされているこの状況で、頭の中に警鐘が響き渡る。
だけど、樹さんは逃げようとした私の両手首を掴み、頭の上で繋ぎ止めた。
そして、一言呟く。
「だからお前も、ちゃんと俺に恋をしろ」
片手で私の自由を摘み取りながら、空いた片手でネクタイを緩める。
「……え?」
樹さんがなにを言ってるのかわからず、私はベッドの上で蝶の標本のように留められたまま、目を見開いて聞き返していた。
「帆夏。お前、やっぱり無自覚か。……お前が俺に何度もバカみたいに向けてきた『好き』は、幼稚園児が頼れる大人の尻追っ掛け回して甘えたいのと大差ない感情だよ」
緩めたネクタイを器用に解き、私の目の前でシュッと音を立てて抜き取りながら、樹さんが静かにそう続ける。
「見合いの席でお前を見た時、出会ってから半年間の、奇行とも言えるお前の猛進っぷりの意味がわかった。幼稚園児並みの感情を必死に『恋』にしようとしてる。お前なりに必死だったのはわかったから、試してやろうと思ったんだよ。……それまではお前になに言われても、本気だとは思えなかったけど」
樹さんがなにをしようとしているか、全面的に理解した途端、頭にまでゾクッと刺激が走るのを感じた。
彼のベッドに転がされているこの状況で、頭の中に警鐘が響き渡る。
だけど、樹さんは逃げようとした私の両手首を掴み、頭の上で繋ぎ止めた。
そして、一言呟く。
「だからお前も、ちゃんと俺に恋をしろ」
片手で私の自由を摘み取りながら、空いた片手でネクタイを緩める。
「……え?」
樹さんがなにを言ってるのかわからず、私はベッドの上で蝶の標本のように留められたまま、目を見開いて聞き返していた。
「帆夏。お前、やっぱり無自覚か。……お前が俺に何度もバカみたいに向けてきた『好き』は、幼稚園児が頼れる大人の尻追っ掛け回して甘えたいのと大差ない感情だよ」
緩めたネクタイを器用に解き、私の目の前でシュッと音を立てて抜き取りながら、樹さんが静かにそう続ける。
「見合いの席でお前を見た時、出会ってから半年間の、奇行とも言えるお前の猛進っぷりの意味がわかった。幼稚園児並みの感情を必死に『恋』にしようとしてる。お前なりに必死だったのはわかったから、試してやろうと思ったんだよ。……それまではお前になに言われても、本気だとは思えなかったけど」