婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
「なっ……なんてこと言ってるんですかっ……」
「へ?」
頭が真っ白で、なにを言っていいのかもわからない。
私が発した第一声は、完全にパニック状態のそんな言葉だった。
「ま、まだ混乱してるくせに! こんなところで発表しちゃったら、後戻り出来ないんですよ!?」
頭を抱え込みながらそう捲し立てる私に、「はあ?」と呆れたような声が浴びせられた。
「まさかと思うけど、後戻りするつもりでいたのか。末長くよろしくって言ったの、お前だろうが」
たくさんの大物たちの視線を纏いながら、私の前に立っている樹さんはいつもと変わらない小馬鹿にしたような目を向けてくる。
「こんな大勢の目の前で、俺に赤っ恥かかせる気か? ふん。出来るもんならやってみろ」
さっきまでは誰が見ても文句なしに立派な社長ご子息だったのに、樹さんはいけしゃあしゃあとそう言って、パンツのポケットに手を突っ込んでふんぞり返った。
「出来ません! 出来るわけないじゃないですかっ……」
思わずムキになって言い返すと、もう一つふんと鼻を鳴らす音が聞こえた。
「だったら俺の手を煩わせる前に、大人しく演壇に上がって来い」
「だってそんなことしたら、樹さんの方がっ……!」
「俺?」
「……いいんですか。私から、逃げられなくなるのに」
「へ?」
頭が真っ白で、なにを言っていいのかもわからない。
私が発した第一声は、完全にパニック状態のそんな言葉だった。
「ま、まだ混乱してるくせに! こんなところで発表しちゃったら、後戻り出来ないんですよ!?」
頭を抱え込みながらそう捲し立てる私に、「はあ?」と呆れたような声が浴びせられた。
「まさかと思うけど、後戻りするつもりでいたのか。末長くよろしくって言ったの、お前だろうが」
たくさんの大物たちの視線を纏いながら、私の前に立っている樹さんはいつもと変わらない小馬鹿にしたような目を向けてくる。
「こんな大勢の目の前で、俺に赤っ恥かかせる気か? ふん。出来るもんならやってみろ」
さっきまでは誰が見ても文句なしに立派な社長ご子息だったのに、樹さんはいけしゃあしゃあとそう言って、パンツのポケットに手を突っ込んでふんぞり返った。
「出来ません! 出来るわけないじゃないですかっ……」
思わずムキになって言い返すと、もう一つふんと鼻を鳴らす音が聞こえた。
「だったら俺の手を煩わせる前に、大人しく演壇に上がって来い」
「だってそんなことしたら、樹さんの方がっ……!」
「俺?」
「……いいんですか。私から、逃げられなくなるのに」