婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
「感情くらい、俺の自由にさせて欲しいね」
呟くように続いた声に、私は心底から打ちひしがれた。
それでも……。
「婚約者なのに、問題外……?」
キュッと唇を噛み、私は樹さんの肩から顔を離して俯いた。
「いつまで経っても甘ったれのまま? 私は出会った頃より樹さんのこと好きになってるのに。ご、合コンだって、樹さんを見返したかったのに、樹さんが大好きって気持ちが強くなるだけで、私ばっかりっ……!」
声を振り絞って叫んだ瞬間、私の肩から樹さんの手が離れた。
その手が背中に回るのを感じて、ドキッとしながら樹さんを大きく仰ぎ見る。
「酔っ払いに話しても無駄だ。あんまり騒ぐなら、手っ取り早くその口塞ぐぞ」
大きく見開いた私の瞳に、そんな意地悪なことを呟く樹さんの唇が映った。
黒い瞳を鋭く細め、樹さんは私に覆い被さるように顔を寄せながら、背中に回した手にクッと力を込める。
割と長い睫毛が目の前で伏せられるのを、瞳に焼き付けた瞬間――。
唇に、知らない温もりと感触が落ちてきた。
一度強く押し当てられ、その後柔らかく下唇を食まれる感覚。
意地悪な言葉とは裏腹に優しくゆっくりな行動に、心より先に思考が反応して、胸がドキドキし始めた。
「ふ、う……ん……」
わずかに唇が離れた隙間で、そんな鼻から抜けたような声が漏れた。
呟くように続いた声に、私は心底から打ちひしがれた。
それでも……。
「婚約者なのに、問題外……?」
キュッと唇を噛み、私は樹さんの肩から顔を離して俯いた。
「いつまで経っても甘ったれのまま? 私は出会った頃より樹さんのこと好きになってるのに。ご、合コンだって、樹さんを見返したかったのに、樹さんが大好きって気持ちが強くなるだけで、私ばっかりっ……!」
声を振り絞って叫んだ瞬間、私の肩から樹さんの手が離れた。
その手が背中に回るのを感じて、ドキッとしながら樹さんを大きく仰ぎ見る。
「酔っ払いに話しても無駄だ。あんまり騒ぐなら、手っ取り早くその口塞ぐぞ」
大きく見開いた私の瞳に、そんな意地悪なことを呟く樹さんの唇が映った。
黒い瞳を鋭く細め、樹さんは私に覆い被さるように顔を寄せながら、背中に回した手にクッと力を込める。
割と長い睫毛が目の前で伏せられるのを、瞳に焼き付けた瞬間――。
唇に、知らない温もりと感触が落ちてきた。
一度強く押し当てられ、その後柔らかく下唇を食まれる感覚。
意地悪な言葉とは裏腹に優しくゆっくりな行動に、心より先に思考が反応して、胸がドキドキし始めた。
「ふ、う……ん……」
わずかに唇が離れた隙間で、そんな鼻から抜けたような声が漏れた。