婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
「こじらせねーよ。ただの熱だろ」
「風邪ですよ、絶対」
「ああ、冬も近いし、流行ってきてるかもな」
樹さんは頬杖をついて私を完全に受け流しながら、カチカチとマウスをクリックする。
横から見たモニターには、私がとったPDFが映されていた。
樹さんは指でマウスをスクロールしながら、確認しているけれど。
「風邪ったら風邪です! 昨夜私にキスしたりするから、移ったんですよっ!」
一瞬声を張り上げて、私は樹さんのパソコンモニターの電源を落とした。
画面が一気に暗くなる。
けれど、樹さんはそっちからは視線を外し、ジロッと私を見上げた。
「おい、なにバカなこと言ってんだ。っつーかオフィスだぞ。誰かに聞かれたらまた妙な誤解されるだろうが」
鋭く低い声で静かに言って、樹さんはサッと辺りに視線を走らせる。
チームリーダーの樹さんのデスクは、他の先輩たちからはちょっと離れているから、この程度の声の大きさなら聞かれるとは思えない。
とは言え……私と樹さんが並んでるとなると、多少なりとも冷やかし混じりの視線を感じるのも事実。
「聞かれたくなかったら、大人しく帰り支度してください」
「お前の命令なんか聞くか。それに、なにをバカな勘違いしてんだよ。昨夜のは、そんなんじゃないから」
「風邪ですよ、絶対」
「ああ、冬も近いし、流行ってきてるかもな」
樹さんは頬杖をついて私を完全に受け流しながら、カチカチとマウスをクリックする。
横から見たモニターには、私がとったPDFが映されていた。
樹さんは指でマウスをスクロールしながら、確認しているけれど。
「風邪ったら風邪です! 昨夜私にキスしたりするから、移ったんですよっ!」
一瞬声を張り上げて、私は樹さんのパソコンモニターの電源を落とした。
画面が一気に暗くなる。
けれど、樹さんはそっちからは視線を外し、ジロッと私を見上げた。
「おい、なにバカなこと言ってんだ。っつーかオフィスだぞ。誰かに聞かれたらまた妙な誤解されるだろうが」
鋭く低い声で静かに言って、樹さんはサッと辺りに視線を走らせる。
チームリーダーの樹さんのデスクは、他の先輩たちからはちょっと離れているから、この程度の声の大きさなら聞かれるとは思えない。
とは言え……私と樹さんが並んでるとなると、多少なりとも冷やかし混じりの視線を感じるのも事実。
「聞かれたくなかったら、大人しく帰り支度してください」
「お前の命令なんか聞くか。それに、なにをバカな勘違いしてんだよ。昨夜のは、そんなんじゃないから」