ひと月の妹
「そうなのよ。」
紫藤佳代子さんは、息子の司さんを
どこまでも偶像化している。
(それじゃあ、26歳の息子さんは
いったいどこの誰と付き合った経験があって
初対面の女性をスムーズに
自分のマンションに連れて帰って
寝泊まりさせることが可能だと
考えるのでしょうか?)
『女性の影が見えない。』
司さん、稀有な存在で良かったね。
(秘書さんたちは口が堅かったのね。)
「おばさま、わたし他の人と
約束がありますから
これで失礼しますね。」
「ええ、将来のお仕事のための準備よね。」
「星(アカリ)さん、頑張ってちょうだい。」