ひと月の妹
まだ話し足りなさそうな
紫藤佳代子さんを置いて
部屋をでた。
将来の仕事のために
人に会う。
それは確かにそうなんだけど
前園崇(まえぞの たかし)さん
司さんの秘書だ。
わたしの目であり、耳でもあり、口でもある。
高校生の頃に彼の娘さんに輸血したのが縁で
恩義を感じて下さって今がある。
タクシーを捕まえ 目的地を告げた。
「×××病院へ」
流れる景色は木々を後ろに
運転手さんは、道を知っていて
思ったより スムーズに到着できそうだ。