ひと月の妹

・・・白ゆり


「司さん~~」

甘ったるい声で自分を呼ぶ女

おふくろが決めてきた政略結婚相手

(少しも興味が持てそうにない)

連れている秘書が自分を見る目・・・

(あれは嫉妬か?)

(ふう~ん)

(そういうことね。)


冷めている。

司は自分でもそう思っている。

自分の結婚話なのに・・・


「早乙女さん、すみません。

まだ仕事が終わりそうにないので

お連れの秘書さんと食事に出かけて下さい。」


「司さん、わたしの事は佳澄と呼んで下さい。

お忙しいですわね。ちゃんと伺っております。」

「お食事は、またに致しましょう。構いませんわ。」


「それでは」

秘書を数人従えた司は身を翻して去っていった。

 


 

 
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