ひと月の妹

ひんやりと暗く冷たい部屋に帰るのとは違い

灯りのついた温かい人の気配が存在する部屋に戻る。


その女の手を握っているだけで

オレの冷えきった心にも

血が通ってくる気がする。


(おまえは温かいなぁ~)


眠っている女の手を握りながら

その女の肩に寄りかかり

女からまるで温かさを

分けてもらうように司は目を閉じた。


そうやって目を閉じていると、

意識が勝手に睡眠へと落ちていった。

朝早くに目が覚めると女の腿の上で

その身を預けて眠っていた。


女に文句を言われることはなかった。


仕事が早く終われる日は、女を抱きかかえ

温かさをベッドに分け与えた。

そうして日常は過ぎていった。

  

  


  

  

  

 

 
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