ひと月の妹
表面を取り繕う仮面とは違い
内心はイライラを募らせていた。
息子である司さんは、これまでは、
女性関係で自分の精神を煩わすことなど
一度たりともなかったのだ。
今のところ、仕事に支障は見られないし、
どちらかと言えば業績は手堅く上昇を示し。
文句など探せないのである。
そのぶつける事のできない苛立ちは
妹である星(アカリ)さんに向かった。
星(アカリ)さんを呼びだしては
自分のイライラをひどくぶつけた。
冷静に諭され最後には働く女性でも立派に
「子育てをやり遂げた人です。」と褒められ
(わたくしはそうやって冷静さを保つことができた。)
「だけど、星(アカリ)さん、このまま事態を
傍観していて構わないのかしら?」
「何か打つ手があるのではないの?」
「おばさま・・・」
「みかんさんは契約とはいえ結婚を控えているので
司さんの家からはちゃんと出てきますよ。」
「女性に夢中になっている司さんなんて初めて見るのよ。」
「おばさま、司さんもロボットではなく
生身の人間だったということです。」
「恋の前には、膝を折り、お相手の手を握ったのでしょう。」
この場合
「彼女の頬を叩くというのが求愛だったようですけど・・」