ひと月の妹
「ふざけてばかりいないで」
「わたくしは本当に困っているのですよ。」
「お相手の佐々木圭さんもおられるのですよ。」
「お兄さまの好き勝手の期間はひと月と短いのに?」
「佐々木財閥の御曹司の佐々木圭さん」
「そうだわ。そうよね。」
「星(アカリ)さん、あなたに来てもらって
やはり、良かったわ。」
「おばさまも一人息子の司さんの事では
かなり冷静さを失うのですね。」
「わたくし、あなたの結婚が絡むときでも
冷静でいられる気がしないわ。」
「それでも政略結婚だけは進めないで下さいね。」
「まぁー、いいお相手見つける自信はあるのよ。」
「司さん以外はお断りしときます。」
「あなたには悪いけど司さんはあげられないわ。」
「解かっています。」
「おばさまに付き合った、ただの冗談です。」
「もう、本当に今日のあなたはふざけてばかりね。」
「大学に寄らなきゃならないんで、私、そろそろ戻りますね。」
「まだ大学生だったのよね。星(アカリ)さん」
「まだ、しばらく学生ですね。」
「わたくしの事をまだお母さんとは呼んでくれないのね。」
「人前で必要なら呼びますよ。」
「おかあさま」
星(アカリ)はドアを開けて外へ飛び出していった。