ひと月の妹
「珍しく本音だったのね・・・」
閉じられたドアを見つめながら
飛び出していった彼女
「とても長い間 実らない
片思いをさせてしまっていたのね。」
(星(アカリ)さん、あなたはわたくしと同じね。)
若い頃、羽島優一に片思いをしていた。
わたくしは彼女のように負けて
佐伯麗子が羽島麗子になった。
星(アカリ)たちの母親である。
『みかんさんが憎かったのは、麗子が育てた娘だったから・・・』
星(アカリ)さんは、私が育てたから 少しも憎くなかったのに。
麻美さんも別の人が育てたから 少しも憎くはないのに・・・
「麗子が育てた娘に自分の息子を奪われたくない。」
わたしがみかんさんを嫌ったのは その一点だけだった。
だけど司さんが麻美さんをマンションに置き。
彼女に何の非もないことを思い知った。
初恋の痛みはいつまでも人を狂わすのね。
「ごめんなさい。みかんさん」