ひと月の妹
「僕これでも耳がいいんですよ。」
「あと後姿もです。」
「遠くからの後姿を僕らがどれだけ見ていたか。」
「あなたが紫藤さんを見つめていたように僕らも
あなたたちを見ていたんです。」
「みかんさん派と星(アカリ)さん派があるくらい」
「僕はみかんさん派だったんですけどね。」
「こんな事まで話すとますます告白みたいですよね。」
佐々木圭さんは、コーヒーのストローを軽く回した。
「さっき辛そうでしたよ。」
「紫藤さんを見ているあなた」
「だから僕は、声を掛けちゃいました。」
「僕と友達になりませんか?」
「僕は違う人より本物のあなたと知り合いたいんです。」
「友達が増えるのは嫌ですか?」