ひと月の妹
「それと、正直に申し上げるなら紫藤さん、
あっ、お兄さんである司さんの方ですが・・」
「少し、ズルくないですか?」
(えっ、なにがずるいの?)
「契約結婚とは言え、僕の婚約者ですよ。」
「いくら紙の上で兄と妹になったからと言っても
連絡取れないし、会う事もできない状況なんですよ。」
「僕だって結婚を控えた婚約者の立場なのに
自分の婚約者と世間的にはウキウキする
時期であるはずなのに、今、一人なんですよ。」
「世間の目もあることだし、今の僕には、
羽島みかんさんが必要なんです。」
(佐々木圭さんはウキウキした瞳で私を見てくる。)