ひと月の妹

「僕は、こう見えても大学の教授たちには

学生時代に幅広く恩を売ってきたんですよ。」

「結構優秀な学生だったんです。」


「もちろん紫藤司さんもすごく優秀でしたけどね。」

「彼は教授たちに群れない優秀さでしたけど」


「つまり、居残ったり徹夜に

つき合ったりしない学生という意味です。」

 
「彼ぐらいですよ。教授たちにひとつも

恩を売らなくても卒業できた学生なんて」


「そして、大学であれほど

自由に過ごした学生も彼くらいでしょうね。」


「あれほどの人間にも、またお目にかかれないでしょうけどね。」


「天はどれだけ彼に様々な事を授けるのでしょうね」


「そういう彼とは違いますけど、僕も大学生活は頑張ったので

教授たちへの顔が広いんです。」

 
「だから星(アカリ)さん、しばらく大学の方には

行かなくても困ることはないんですよ。」


「あの、おっしゃる意味が良く分りませんけど・・・」

 
「あっ、そうそう。」

佐々木圭さんはスマホを

取り出して動画を見せてくれた。


そこには、大学の教授たちが

しばらく大学に出席しなくても

すべてを免除をしますので安心して下さい。

と笑顔で手を振って下さっている姿が順々に映っていた。

いつも難しい顔をして抗議をして下さっている方々と

同じとは、とても信じられない。


さらに、ご丁寧に数日前の日付まで

きちんと書かれた紙を持ち、それを見せながら


「これは、どういうことですか?」

  

  

 



 
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