ひと月の妹

次の日から圭さんが迎えに来てくれて

明るい日差しの中

連日ガーデンパーティーに連れ出された。

グラスを持って婚約者として立って

杯を合わせて軽くお辞儀を

すればたいがい良かった。

「おめでとう!」を言われるくらいで

あとは圭さんが引き継いで

会話をしてくれるので

時々、会話に合せて頷きさえすれば

すべての時間は穏やかに通り過ぎていった。

サングラスも帽子もこの中では、

みんなが普通にしているので

自分だけが浮くなんてことはなく

ホッと安堵して庭の花を

鑑賞したりして静かに過ごせた。

 
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