ひと月の妹
 
 自分を見る漆黒の冷たい瞳を思う。

 「紫藤司さん」

 あの人は自分の母親をあまり好きではないようだ。

 だから妹なんてものになった私を実の妹のようには

 可愛がりはしなかった。

 母親を困らせたかったのかもしれない。

 紫藤司さんの前に立つとき

 みかんは自分のすべてが冷たくなるのを感じる

 彼と私の間にはいつも見えない雨が降っている気がする。

 
 結婚して半年、訪れた外国で、あの漆黒の瞳に囚われる

 他の人と婚約した男
 
 捕らわれて冷たい瞳は私を欲する

 「あの男と別れろ!」

 自分は他の人とこれから結婚するのに

 私には佐々木財閥の御曹司の佐々木圭さんと別れろ?

 私に紫藤司の愛人にでもなれとでも思っているのか?

 それは紫藤佳代子が許さないだろう

 

 

 

 

 

 
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