ひと月の妹
「このまま結婚をすることになるでしょう。」
「それが一番だと思います。」
「おばさまを怒らせない方がいいですから」
「契約結婚でも式に来てくれますか?」
「もちろん」
「婚約者の役もこれで終わりですね。」
「ですね。」
「婚約指輪返さなきゃ」
「あっ、それは持っていて下さい。」
「?」
「嘘でも僕には愉しい時間だったので・・・」
「面白い事をした記念にあなたが持っていて下さい。」
「友達で構わないので たまに僕を思い出してほしいから
その指輪を見て あなたも僕と笑った時間があったと」
「・・・」
「分りました。じゃあ・・
良い友達関係を続けたいから中指に移動しますね。」
指から抜いた婚約指輪を中指にはめた。
彼は笑いだし
「仕事が速いですね。」
私たちは初めてお互いにお茶をした日のあの緊張が
今は嘘みたいに美味しく紅茶を飲みあった。