ひと月の妹

愛人

これでは まるで愛人ではないのか?

婚約者の早乙女佳澄さんだって 今の私を見たら

許せないだろう・・・

『幽閉』

まさにそんな感じ

『半年』

紫藤司さんは会わない間に

私をさらう準備をしていたのだろうか?

開かない窓には雨が叩きつけ

膝を抱えて外を眺める

ゲージの中で飼われる小動物の気分だ

飼い主は仕事をしているので

夜にだけ訪れる

笑わない漆黒の瞳は何を思い

何を見ているのだろう?

 

 

 
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