ひと月の妹
「圭さん、このマンションには前から来てたの?」
「僕の名前をやっと呼んでくれたね」
「せっかく毎日のように君に会えるようになったのに
君の婚約者の役が終わって、それからだよ・・・」
「僕は君のそばで君を見るだけでも満足できる人間だからね」
「君のそばでおやすみを聞いて
『おやすみ』を言いたい ただ それだけだったよ。」
「君が僕に飛び込んで来るまでは・・」
「わたしは寒くて・・・
温めてもらっただけなのに」
「難しく考えなくていいよ。」
「僕は君が一番好きな人を知っているよ。」
「永遠にその人が好きなままでいいよ。」
「僕は一番にこだわっていないよ。」
「この先、もしも彼が君の記憶を思い出して
君の手をもう一度握るのなら
それを君が受け入れたとしても
永遠に君は抱えてる寒さと切なさを
捨て去ることはできないはずだ」
「君はその理由をちゃんと知っているはずだろう?」
「みんなは、知らないのに・・・」
(やっぱり、困った友達の能力は並外れている)
「僕は学生の頃から君たちを
遠くから見ていたと話しただろう?」