ひと月の妹
「これを見て」
「これ、わたしと圭さん?」
「本を読んでいるわたしとすれ違っている圭さんの写真」
「高校生の君が詩集に夢中になっていた頃」
「僕とすれ違っても君は本に夢中だった。」
「その時の一瞬を友人が偶然に撮ってくれたものだよ。」
「彼は写真部で校内の景色写真担当だったんだ。」
「僕らは君の私設ファンクラブだと言ったろ!」
「通りを挟んだ隣の学校のひとだったの?」
「そうだよ。」
「そう、なのに学校は繋がっている。」
「おかしな学校だった」
「ふたつの学校なのに中は敷地内」
「私たちは違う制服を着ているのに
確かに道ですれ違ってる。」