ひと月の妹
「僕の宝物の写真さ」
「学校を転校しようかと思ったぐらいだったよ。」
「少なくとも同じクラスになれば
君と少しくらいは、話す機会はあるだろう?」
「どうして転校しなかったの?」
「親父の出身校、息子も出身校が夢だったから」
「だから僕が今どれくらい幸せか・・」
「僕を可哀そうだと思うだろ?」
両手を広げてわたしが飛び込んでくるのを
待っている圭さんがいる。
「おいで、僕の月のお姫さま」
「雪の女王」
わたしは長く氷の国の姫だった。
寒くて とても寒くて
孤独な景色を見つめて
「かぐや姫」だと言うの?
(いつかわたしが月へ帰ることを彼は許すの?)
凍った氷は溶けて水になり、空に昇っていきました。