ひと月の妹

「紫藤さま」

「紫藤星(アカリ)さま、少しご挨拶をお願いします。」

「何だろう?ちょっと行ってくるね。」

周りの人々と挨拶を交わしていたら

迎えにきた女性スタッフに連れられ会場の外にでた。

ドアを閉めると「こちらへお願いします。」と歩きながら案内された。

「新郎さまが、ぜひご挨拶をとのお申し出がございまして・・」

「分りました。恐れ入ります。」

コンコン

「失礼します。」

ノックをして入ると カメラマンと新郎が立っていた。

「佐々木さん、本日はおめでとうございます。」

「紫藤さん、ありがとうございます。」

「今日はお兄さんは?」

「大変申し訳ありません。兄は多忙の為、

やむなく欠席をさせて頂きました。」

「そうですか。残念だな」

「女性と違い、男の着替えはそんなに時間が必要じゃないので

正直持て余していたんですよ。

お兄さんと仕事の話でもしようかと思ったんですが、それは残念です。」

「大変失礼致しました。」

「いえ、お仕事ですから、仕方ありませんよ。」

「そうだ、せっかくだから カメラマンのテストを少し、したいので

ちょっと手伝って下さい。ちょっと僕と並びましょう。」

佐々木圭さんの隣に並ばされて カメラマンはポラロイドを構える。

カシャーと音がして 次々と数枚の写真が撮られた。

カメラマンがパタパタと手を振りながら

数枚のポラロイド写真を新郎に渡した。

「いつ見てもおもしろいなぁ~」

「この真っ暗いのものが浮かびあがってくる感じ」

「紫藤さん、綺麗に撮れていますよ。」





  
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