ひと月の妹
「兄さんに買わせた指輪をひとつみかんさんにあげちゃった。」
「君は寒くなることばかり思いついて実行する人だとよく理解できたよ。」
「僕があげたふたつの指輪は外すな!!」
そう言って信号待ちの瞬間にあたしの左手の甲を素早く唇で奪った。
空港近くのホテルで右手にも唇が降りてきて 全身に赤い花が咲いた。
「出張は?」
「あるわけないでしょう!」
「僕のひとが来ているのに」
「さっきの返事聞いてないよ。」
「?」
「僕があげたふたつの指輪、外すな、失くさない、人にあげない」
「増えてるよ」
「返事は?」
「うん、分かった。」
「後でその空いた指にも、新しい指輪を買ってあげるよ!」
「圭さん、わたしを甘やかしすぎです。」
「僕は言いましたよ。君に好きな人が居ても
君を大事にすると、僕を嘘つきにする気か?」
「スカーフもプレゼントしないとダメかな?」
「後で鏡を見るといいよ。」